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2019年10月25日、Googleが英語版の検索エンジンに「BERT(バート)」を取り入れることを発表しました。このニュースは日本でも取り上げられたため、BERTの名前を見聞きした人もいるでしょう。
簡単に説明するとBERTは、2018年にGoogleが公開したAIの自然言語処理技術です。このBERTが、検索結果のランキング表示の仕組みにも応用されることになりました。
2019年12月10日には、日本語を含む70言語以上のGoogle検索にBERTを導入したと、Googleが正式に発表しています。
しかし「BERTとはどのようなもの?」「BERTでどういう影響がある?」など、BERTに関する疑問を抱いている人は多いのではないでしょうか。
当記事では、BERTの特徴やアップデートによる影響、今後のSEO対策まで詳しく紹介しています。BERTをすぐに理解できるようにわかりやすく解説しているため、当記事を最後まで読めばBERTの疑問が解消するでしょう。
目次
冒頭でも説明したとおり、BERTは自然言語処理技術のひとつです。「Bidirectional Encoder Representations from Transformers」の頭文字を取り、BERTと名付けられました。
自然言語処理は、人間が日常的に使用している言葉(自然言語)をコンピュータに理解させるための技術で、NLPと略されます。
Googleの検索エンジンにもNLPが導入されており、Googleの検索窓に入力したキーワード(クエリ)をNLPで処理することによって、キーワードに沿った検索結果が表示されます。
「AIが人間を超えた」と言われるほど、BERTは従来のNLPよりも高精度な言語理解力を持っています。そのため、Googleの検索エンジンにBERTが導入されることで、検索キーワードと関連性の高いWebサイトが検索ランキングの上位に表示されるようになるでしょう。
BERTが従来のNLPと異なるのは「文脈に沿って言葉を理解できる」ことです。
これまでのNLPでは、検索キーワード(クエリ)に複数の意味を持つ言葉があったとき、その言葉がどの意味で使われているのかを理解することはできませんでした。
多義語の例
養生 | 病気やけがの回復に努めること or 工事においてシートなどで保護すること |
反射 | 光などが物に当たり跳ね返ること or 刺激に対して無意識に起こる反応のこと |
くび | 頭と胴をつなぐ部分のこと or 職をやめさせること |
↓
従来のNLPはどちらの意味なのかを判断できない
その点、BERTは文章全体を参照することで、さまざまな言葉の意味から適切な意味を選ぶことが可能です。
例示したような多義語の意味や言葉の微妙なニュアンスは、前後の文脈から判断する必要があります。
BERTは言語理解力が優れているため、文脈から言葉の意味やニュアンスを読み取ることができるのです。
では、Googleの検索エンジンにBERTを導入することで、実際の検索結果はどのように変わるのでしょうか。
Googleは、従来の自然言語処理(NLP)とBERTのそれぞれで検索ランキングの上位に表示されるサイトがどう違うのかを、5つの例を通して説明しています。
①2019 brazil traveler to usa need a visa
(2019年 アメリカに行くブラジル人旅行者 ビザ 必要)
従来のNLPによる 検索結果の上位 |
アメリカ人がブラジルに旅行する場合のビザに関するサイト |
BERTによる 検索結果の上位 |
ブラジル人がアメリカに旅行する場合のビザに関するサイト |
②do estheticians stand a lot at work
(エステティシャンは仕事中に立つことが多いか)
従来のNLPによる 検索結果の上位 |
エステティシャンの独立方法に関するサイト |
BERTによる 検索結果の上位 |
エステティシャンの仕事内容に関するサイト |
③Can you get medicine for someone pharmacy
(誰かのために薬局で薬を買うことはできるか)
従来のNLPによる 検索結果の上位 |
処方薬をもらう方法を紹介するサイト |
BERTによる 検索結果の上位 |
友達や家族が患者の代わりに処方薬を受け取る方法を紹介するサイト |
④parking on a hill with no curb
(縁石のない坂道に駐車する)
従来のNLPによる 検索結果の上位 |
上り坂と下り坂での駐車方法を説明するサイト |
BERTによる 検索結果の上位 |
縁石がない上り坂や下り坂での駐車方法を説明するサイト |
⑤math practice books for adults
(算数 練習帳 大人用)
従来のNLPによる 検索結果の上位 |
6年生~8年生向けの算数の練習帳を販売するサイト |
BERTによる 検索結果の上位 |
数学をもう一度学びたい大人向けの算数の教材を販売するサイト |
上記の例からもわかるように、英語圏のGoogle検索でBERTにより「文脈に合わせて単語の意味を理解する」「文脈で重要な単語を認識する」ことができるようになった結果、より検索意図に沿ったWebサイトが検索ランキングの上位に表示されるようになりました。
2019年10月25日時点でBERTが取り入れられたのはアメリカの英語検索だけでしたが、2019年12月10日からは日本語のGoogle検索にもBERTが導入されています。
これまでの自然言語処理(NLP)では、文脈や文法を適切に理解できませんでした。たとえば「高級ではない焼肉店」と検索しても、NLPができるのは単語を個別に把握することに限られます。「ではない」という文法は認識されないため、検索結果に表示されるのは「高級な焼肉店に関するサイト」となっていました。
しかし、BERTは日本語の文脈や文法構造も理解できます。日本語のGoogle検索にもBERTが導入されたことで、今後は検索キーワードの内容に近いWebサイトが検索結果に表示されるようになるでしょう。
そもそも、Googleはなぜ検索エンジンにBERTを導入することに決めたのでしょうか。
BERTが検索エンジンに導入された背景には「検索キーワード(クエリ)の多様化」があります。
スマートフォンの台頭により、時間や場所を問わずインターネットで調べる行為は当たり前になりました。毎日数十億件もの検索が行われていますが、そのうちの15%はまったく新しい言葉だとGoogleは公表しています。
さらに、近年ではスマートスピーカーも登場し「音声で検索する」ことも身近になりつつあります。音声検索は会話ベースで検索することになるため、キーワードを直接入力する検索方法よりもクエリが複雑になりがちです。
そうした複雑なクエリや会話ベースのクエリにも対応するため、Googleは検索エンジンにBERTを取り入れて言語理解力の向上を図ったのだと考えられます。
BERTの導入によるGoogleの検索アルゴリズムのアップデートは、検索ランキングと強調スニペットに適用されています。
Google検索にBERTが取り入れられることで、どのような影響が発生するのでしょうか。
主な影響としては、下記の3点が考えられます。
ここからは、上記の3点について詳しく説明します。
まず、大きな影響としては「日本語サイトの検索順位の変化」が挙げられます。
Googleの検索エンジンが検索キーワード(クエリ)をより正確に理解できるようになり、検索結果に表示されるWebサイトや検索ランキングの順位が変わると予想されます。
実際にGoogleによると、アメリカの英語検索において検索結果の10%に改善が見られたとのことです。つまり、クエリの10件にうち1件はBERTの影響を受けたと言えます。
BERTは日本語検索にも導入されているため、検索キーワードによってはWebサイトの検索順位が変化する可能性があります。
BERTは言語理解力が優れていることから、会話ベースのクエリや口語表現の微妙なニュアンスも読み取ることが可能です。
そのため、音声検索の検索結果も改善されると予想されます。
音声検索の場合、質問に対する明確な回答が記載されているQ&Aのようなコンテンツが検索結果として取り上げられる傾向にあります。
そうした傾向を踏まえると「日常会話で使う言葉が含まれているサイト」「文章に話し言葉が入っているサイト」などが、音声検索の検索結果として提示される可能性が高くなるでしょう。
Googleの検索エンジンにBERTが導入されたことで、検索キーワードの文脈に適切なWebサイトが検索ランキングの上位に表示されるようになると考えられます。
つまり「多種多様なキーワードが詰め込まれた文章」「脈絡のない無益な文章」を載せているWebサイトは、Googleに評価されない恐れがあります。いわゆるワードサラダ(文法が正しくても意味が破綻している文章)でコンテンツが作られている場合、検索ランキングの上位に入ることは難しくなります。
以前から言われていることですが、Googleが評価するのはコンテンツの量ではなく、コンテンツの“質”です。
BERTの導入に伴い、今後はコンテンツの質がますます重視されるでしょう。
Googleの検索エンジンが検索キーワード(クエリ)の文脈や検索意図を読み取れるようになることで「今のままのSEO対策で問題ないのか」「BERTのアップデートに合わせたSEO対策はないか」と思っている人は多いのではないでしょうか。
SEO対策において大切なのは「ユーザーの疑問に迅速に答えるコンテンツを作ること」です。
その点さえ間違えなければ、特別な対応を取る必要はありません。
とはいえ、ユーザーのためになるコンテンツの作り方がわからない場合もあるでしょう。
ここからは、SEO対策にもなる有益なコンテンツの作り方を3つ紹介します。
コンテンツを作る際は、まず「ユーザーが何を求めているのか」という検索意図を汲み取りましょう。
「なぜ検索しているのか」「どういった疑問を解消したいのか」といったユーザーのニーズを理解しなければ、良質なコンテンツは生まれません。
ユーザーの検索意図を探りたいときは、下記の手順で検索意図を調査しましょう。
検索ランキングの上位に表示させたいキーワードで検索し、検索結果の上位に表示されている競合サイトのタイトルやコンテンツ内容を調査しましょう。
↓
検索結果画面の下部などに「関連する検索キーワード」が表示される場合があるため、ユーザーがどのような情報を欲しているのか探りましょう。
また、検索窓にキーワードを入力したときに表示される検索候補(サジェスト)を確認することも、検索意図を汲み取るためのヒントになります。
↓
調査した内容を踏まえて、ユーザーが求める情報を含んだコンテンツを作成します。 コンテンツのタイトルや見出しにユーザーの要望に応えるキーワードを入れるだけでなく、文章の見せ方やデザインも工夫し、検索意図を考慮したコンテンツに仕上げましょう。
そもそも、ユーザーの検索意図を考慮していないWebサイトがGoogleに評価されることはありません。
ユーザーの検索意図やニーズを的確に理解し、良質なコンテンツを作りましょう。
Googleが求めているのは、高品質かつ独自性のあるコンテンツです。他サイトのコンテンツをコピーしたような重複コンテンツは、Googleからペナルティを受けるケースもあります。
ユーザーの検索意図を汲み取るのに競合サイトを参考にすることは問題ありませんが、「競合サイトのマネをしたコンテンツ」とならないように注意してください。
競合サイトの“パクリ”とならないためには、独自の考え方やノウハウ、知識を盛り込んだコンテンツにする必要があります。
どうしてもコンテンツが競合サイトと似る場合は、オリジナルの要素を組み込んで差別化を図りましょう。
いくらユーザーの検索意図を的確に汲み取れていても、そのコンテンツの文章がわかりにくければ、ユーザーはコンテンツを読んでくれません。
そのため、
コンテンツに載せる文章は誰にでもわかるような書き方にしましょう。
わかりやすい文章の書き方のコツは、下記のとおりです。
インターネットはさまざまな人が利用します。その中には文章を読むことが好きな人もいれば、苦手な人もいます。
コンテンツの文章を作るときは、文章を読み解くことが不得意な人でも理解できる、シンプルで簡潔な表現を心がけてみてください。
上記で紹介したコツを意識するだけで、誰が読んでもわかる文章が書けるでしょう。
Googleが検索エンジンに取り入れた「BERT」は、自然言語処理技術の一種であり、従来のNLPと違って検索キーワードの文脈を理解することが可能です。
「BERTを意識したSEO対策を行いたい」という人は、ユーザーの検索意図を汲み取った独自性のあるコンテンツを作りましょう。コンテンツの文章は、誰が読んでもわかる書き方にすることが重要です。当記事で紹介したコツをぜひ参考にしてください。
なお、BERTの導入で検索アルゴリズムが変わったため、日本語サイトの検索順位にも何らかの影響が及ぶと予想されます。
「今まで検索ランキングの上位だったのに順位が下落した」「SEO対策による成果がなかなか出ない」という場合は、一度SEO業者を見直してもよいでしょう。
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